ミノルさんは1か月の入院・加療を得てもうすぐひまわりに戻って来られます。
わずか1か月の入院でしたがすっかり身体が弱ってしまい、振り出しに戻ってしまいました。
移動は車椅子、入院前はふらつきながらも歩いてたんですが…
あるスタッフにその事を伝えると…
「ふらつかれるより車椅子が安心❗」
皆さんどうですか?
住宅型老人ホームどころか在宅支援しかお仕事をしたことがない私は高来に来て3年半、住宅型老人ホームがどこまでできるのか?日々悩み続けてきました。
きっと限界はある、しかし、介護保険の施設も自由契約の施設も入居されている高齢者は皆さん同じ。介護保険の施設だろうが、自由契約の老人ホームだろうが人生最期になるかもしれない『居場所』なのです。
多死社会を目前に介護も医療の世界もきっと変わる…進化するはず…
細分化した高齢者施設…『居場所』は次期統合され施設形態は簡素化される、医療も含めて…そうなってほしいと願います。
超高齢化社会に加えコロナ禍の中、コロナによる高齢者の死者数、入院の割合も増えている…この状況を考えると施設形態の見直しも早まるかもしれません。
もし施設形態の見直しがあったら、私たち住宅型老人ホームがどこに分類されるのか?介護保険施設になり得るか?
介護保険施設とまでも行かなくとも、ケアが評価され必要性が認められれば…
どうあれ、今の私たちのケアは大いに評価の対象になり得る…私たちがどこまでケアできるか?良くも悪くも…。
もしも介護報酬の中で認められればスタッフの処遇も変わるかもしれません。
仕事に見合う報酬に働きやすい労働環境…結果はもちろん私たちの生活ですが、一番は入居者様へのケアです。私たちスタッフが働きやすい環境の中で働くことは良いケアを行う大事な条件と思うのです。
ミノルさんに戻りましょう。
スタッフの言葉に苦笑…絶句…この3年半何だったんだろう…
有料老人ホームの限界…ですか?
病院のリハビリでは改善しなかった…じゃぁうちでやってやろうじゃん!ってね、そう思いたい。
帰宅路、高速をブッ飛ばしてストレス解消❗
退院に向けて、さあ❗準備です。
最後に皆さんにご紹介します。
外山義先生…代表に教えて頂いた本から皆さんへ
ぜひ前のめりに進んでいきたいなと思います。
前のめりになって転ばない方法は
足を出すことです
ユニットケアは、一歩踏み出すなかで見えてくるものだと思います。
倒れないように前へ進みましょう。
『ユニットケア』をあなたの目指すところ、理想、目標に置き換えてみてください。
追記 代表者より
外山先生や民主党の山井さん、当時の老健局長で県立大にも来られていた堤先生、多くの方々の力でスタートした介護保険制度。堤先生がおっしゃいました。社会保険として作り上げた介護保険は、誰しもが公平に利用できなければ保険じゃない。少なくとも今の介護保険は保険じゃないと。
また介護保険が始まった時、グループホームを新設する時に山井さんからお電話頂き、グループホームやるなら、民間の住宅を設計する設計士さんに頼まないとダメですよ。これまで施設を設計してきた方じゃ本当のグループホームにはならないと。京都駅のホームからアドバイス頂きました。
当時はとにかくみなさん熱かった…。
あれから20年。その間に国交省がサ高住を制度化し莫大な補助をつけました。当初は1戸25㎡以上と。しかし誰もその広さでは事業化せず、結果18㎡以上と条件はありますが緩和されて全国に広がりました。また、うさぎ小屋が増えました。
私も当初からサ高住に取り組み、たくさんの自立した方々が入居されました。
扉を開けるとすっぽんぽんのワンルーム。管理する側は、扉を開けたら中が一目瞭然。しかし自立された方々がまずはじめにされるのは玄関の暖簾。次が扉からすぐに中が見えないように衝立を置いたり、家具を置いてプライバシーの保たれた空間を自分で作り出す事でした。
私たちがまず忘れてならない事は、みなさん運営規程に定めていますし、介護保険のはじめから一貫して変わらない、ご高齢者のみなさんがその尊厳を保持し、残存能力を維持し、自立した日常生活を送る事を支援する。そのことが私たちの役割であり、先の先生方が苦心の末に実現された介護保険の存在意義です。どこにもリスクを第一に、とか、安全を第一にとは定めていません。確かにリスクや安全は重要ですが、それとのバランスをいかに考えるか、それは私たち介護業界で飯を食わせて頂いている末端から、制度を創り出す官僚のみなさん方までが、ブレずに一貫して持ち続けなければいけない義務です。
危ないと車椅子になっていたアイ子さん、ようやく行きたいところに歩いて行けるようになりました。
危ないと車椅子になりかけた、てっちゃん。スタッフの力で歩行器で自力で行きたいところに行けるようになり、歩行器というワードもすぐに覚えて頂けました。
みのるさん。帰られて、新しく自室に飾られた、本人曰く昔の彼女の女優さんが出演していた昭和のポスターを見て、また以前の生きる力を取り戻される事を期待します…。
目の前の石を拾うことばかりが私たちの役割じゃない。多少石はあったとしても、自力でそこを歩んで行けるよう、さりげなく支援させて頂く事が本当の私たちの仕事です。
他人にオムツを交換して欲しいですか?自分でトイレに行けてゆっくり気兼ねなく排泄したいですよね。行きたいところに自力ですぐに行きたいですよね?パンツ一丁で人目を気にせず大の字で寝たいですよね。
私たちは普通に何気なくできている事が、それを自力でできない悲しさ、辛さ、恥ずかしさに共感できなければ、これからの介護に携わっていく事は難しい。