終末期医療に力を注がれる長尾先生の初めての小説。これまで多く執筆されてきたのは、この小説のためだったと先生自身が言われると、どうしても読んでみたくなります。
またNHKの「彼女は安楽死を選んだ」という番組が反響を集め、さらに厚生労働省が作成した人生会議の普及啓発ポスターが批判を浴びて一日で中止となる事態。そういう中で余計に気になる一冊。
まだ読み始めですが、5年後の日本の医療環境を詳しく、リアルに予想された中での展開。自然に死を迎えることと医療技術の発展による問題提起から始まります。
何が正くて何が間違いだと言い切れるものでなく、それぞれに異なる考え方があって当然です。
尊厳死、安楽死、人生会議、看取り、リビングウィル、アドバンスケアプランニング、エンディングノートなど、人生の最期に関する様々なワードが少しずつ世の中の話題となり広まる中、一年の始まりに「死」についてもう少し考えてみる機会となりそうです。
その中で、厚生労働省のポスター。確かに非常に刺激が強い。しかし若い人に少しでも関心を持ってもらうには、このくらいの刺激的な問いが必要だったのかもしれません。
NHKの「奇跡の星:生と死の循環」の中で、東南アジアのある村で、亡くなった家族といつも一緒であることを感じるために、棺桶からミイラ化した遺体を出し、大人たちが抱き上げて立たせ、タバコを吸わせたりする。子供たちはさすがに目を背けます。しかしこういう伝統を通じて死に対する考え方が脈々とこどもたちに伝えられていく。
一方、わたしたちはどうでしょうか?死に対する考え方をこどもたちに伝えて行けているでしょうか…?
大人たち自身ですら考える機会が無くなってきている気すらします。
厚生労働省のポスターの賛否は別としても、刺激が強い内容でも、若い人たちが死について考える機会を作ることは、我々大人たちの役割であるはずです。
まずはわたしたち大人が、しっかり考えてみて、自分なりの考え方を持つことが必要で、この長尾先生の小説から、もう少し死について考えてみたいと思います。
人間誰しもが必ず経験する生と死。長尾先生が描かれているように、自宅で死を迎える人が増える多死社会を前に、しっかりとこどもたちと一緒に、目を背けることなく、向かい合って、考えてみる必要がありますね。
長尾先生の一冊が、多くの方々が、死について考えるきっかけになることを祈りつつ、読み進めてみたいと思います。