ミツヨさん、食堂の椅子でお尻がモゾモゾ…お休みするのにお部屋へ連れて行ってもらうにはまだ順番が来ません。
お尻モゾモゾしとるよ!動きたかと?
「ハハハハー!そうやねん!動きたいねん。」
じゃぁ一緒に動こうか!どこに行く?
「うちに行こーかなぁ思てんねん」
そう!豪邸はあっちや!あっちに行こう!
お部屋の前でしばらく立ちんぼ、ベッドの横でもしばらく立ちんぼ。
「わからんねんなぁ…」
「◎△$♪×¥●&%#?!」
うーん、通訳できません。
あら、どっかでもあったような。やっぱ兄妹やなぁ。
部屋の角にある椅子や机を指差して、
「白いのが◎△$♪×¥●&%#?!」
あれはねぇ、◯◯さんが遊びに来たときに座ってもらうんよ。
「…そうやなぁ…」
ベッドサイドのポータブルトイレを握って、
「これ◎△$♪×¥●&%#?!」
これしっかりしとるやろー、手すりのかわりに握ってよかとよ。
「…思ってるより強いもんなぁ…」
今夜は「わからんねん」を繰り返されました。
きっといつも頭の中で、「わからんねん」を繰り返してるんだろうなぁ…
わからん不安の中で毎日を過ごす…
今日、別の入居者様と認知症専門医を受診。
お風呂に入る、服を着替えることを強く拒まれる。なぜ?お風呂は気持ちいいのに。汚れた服を着替えるのは気持ちいいのに。
先生曰く、
認知症であるがために物事を数分で忘れてしまう。「お風呂に入るよ」と説明しても脱衣室に行けばわすれる。そこへいきなり服を脱がされる。恐怖心と羞恥心が生まれるのは当然。
お風呂に入る行為と恐怖心・羞恥心の差をどうやって埋めるか…そこをどうやるかアイディアを出して見て。
例えば、脱衣室ではなくお湯のはった浴槽の前で脱衣するとか…
入居者様が認知症…それは知っています。
認知症がどんな病気かもだいたいはわかっているつもり…
しかし、入居者様はひとりひとりが認知症であるがために何に困っているのか、何を不安に思っているのか、どうしたいのか?
私たち健常者の物事に対する概念をおしつけてないか?
私たちの当たり前で接していないか?
「認知症だから」とひとくくりにせず、ひと昔の言葉ですが、「個別ケア」を常に考えて行きたいと思うのです。
いつも笑っていて欲しい…きっとご家族もそう思っているはず。
笑顔で居られることに認知症は関係ない…高齢者であることも関係ない。
究極の目標は笑顔をいかに引き出すか?
ただただ、それだけとわたしは思うのです。